①建物の概要
(1)本年度回答のあったビルは298棟、延床面積849万3,175㎡。1棟当たりの平均延床面積は2万8,501㎡。
(2)ビルの種別でみると、賃貸専用ビルが75.9%、賃貸と自社兼用ビルが22.7%という割合。
②敷地等の状況
(1)敷地面積は平均3,468㎡で、大規模ビルにおいて、昭和51年~平成7年竣工が敷地の大規模化が顕著である。
(2)建築面積は平均2,222㎡。300㎡~1,300㎡未満の面積が全体の46.4%にのぼっている。
(3)ビルの開発手法では、「特定街区」「総合設計」「市街地再開発」といった街づくり手法を活用した割合が20.0%となっている。
③建物の利用状況
(1)ビルの有効面積比率は平均63.8%。規模別にみると、小規模ビルが76.7%、中規模ビルが74.2%、大規模ビルが62.9%で、規模が大きいビルほど有効面積比率が低い。
(2)建物利用用途別分類でみると、延床面積のうち、事務所50.5%、店舗5.7%などのほか、共用面積28.5%、駐車場7.7%となっている。
④災害対策の状況
(1) 東日本大震災を契機に関心が高まっている非常用発電機の設置状況等の実態は、調査結果によると、「消防法、建築基準法で定められた時間運転が可能」なビルは全体の約4割、「それ以上の運転が可能」とするビルは約6割にのぼっている。法定以上の運転可能なビルの平均運転時間は1,089分で、小規模ビルが228分、中規模ビルが329分、大規模ビルが1,445分。竣工年代別では、昭和61年~平成7年竣工ビルの平均運転時間が222分、平成8年~平成17年竣工が1,385分、平成18年以降竣工が2,291分で、平成18年以降竣工したビルの平均運転時間が際立って長くなっている。
(2)地震対策を施しているビルは全体で86.2%となっている。対策の内容をみると、「地震時の情報伝達システム」が73.5%と最も高く、次いで「食料・水等の備蓄」62.6%、「緊急地震速報」52.9%が上位を占めている。東日本大震災以降、「大規模地震時の事業継続計画」、「食料、水等の備蓄」、「緊急地震速報」について対策が進んでいる。
⑤バリアフリー対策の状況
バリアフリー対策を講じているビルの割合は6割で、上昇傾向にある。バリアフリー対策の部位別の実施率を見ると、「トイレの車いす用の個室」で実施率が60%を超える一方、「トイレのオストメイト対応」、「各種視覚障害者対応」等、実施が遅れている対策も多い。
⑥ビル主要設備の状況
エレベーター事故を防止する観点から注目されている「戸開走行保護装置の設置状況」についても調査している。
(1)「設置」、「一部設置」、「設置予定」が合わせて39.4%、「予定なし」が60.5%となっており、昨年度とほとんど変わっていない。
(2)規模別の設置状況は、小規模ビルが40.6%、中規模ビルが35.7%、大規模ビルが41.7%。竣工年代別にみると、平成18年以降の竣工ビルでは62.5%であるが、それ以外の年代では概ね30~40%台となっている。
⑦ビルサービスの状況
「AED」が設置されているビルは全体の76.4%(平成24年度70.7%)で、規模別では小規模ビルが34.9%、中規模ビルが74.0%、大規模ビルが90.8%。昨年度よりもAEDの設置が進んでいる。
設置場所は、「ロビー・廊下等の共用部」が80.2%と最も多い。
⑧契約の状況
テナント契約のうち、定期借家契約を締結しているビルは全体の52.1%となっている。調査を開始した4年前の平成21年度調査時点(39.5%)に比べ、定期借家契約の普及が進んでいる。